こんにちは。儲けた医です。
株式投資というのはそれぞれみんなが好きなようにするべきだと思っています。
ゲームが好きだからと任天堂を買い、優待が良いからとオリックスを買い、アメリカの平均にレバレッジ(倍率)をかけたETFを買い、、、全部含み損の人がいます。

誰か知ってる!お前!
そうだよ。ということで全部含み損で耐え忍んでいる儲けた医です。
今回のトピックは「高配当株投資」です。
私も投資始めたての頃は「高配当株投資っていいよね!何もしなくても毎年お金入ってくるし!」と思っていました。
しかし、最近になって「本当にそうか?」と思うようになりました。
それは「高配当株の株価が年々下がっている印象があるから」です。

高配当でもその分株価下がってたら意味ないしな。
本当は違うのか?それとも印象通りなのか?ということでその検証をした記事になります。
1.調べた銘柄(2020年4月予想データ)
高配当株と言ってもたくさんあります。日本に限らず、米国にもそして欧州にもたくさんあります。
さすがに絞らざるを得ないので有名どころのみ調べました。なんと日本株でも配当利回り7%超えが40社くらいあるんですね!驚きです。(2020年4月)
ということで私の偏見を以て業種を散らしつつ選んでみました。
- 電気機器:キャノン(6.9%)
- 金融:みずほFG(6.12%)
- 不動産:アーバネット(8.58%)
- 石油:エクソンモービル(7.67%)(米国株)
- タバコ:ブリティッシュアメリカンタバコ(7.29%)(米国株)
- S&P500高配当株式連動型ETF:SPYD(分配金利回り-経費率=5%)(米国ETF)
というチョイスをしてみます。高配当株になりやすい業種って「金融」「タバコ」「石油」「不動産」が多いのです。
※株式の種類によっては株価が下がっていない高配当株もあるのでこれらの銘柄が「配当利回り以上に株価が安くなっている」=「高配当株投資はオワコン」じゃないです。

そこだけは勘違いしないでくださいね。
※今回の記事は「日本編」です。アメリカ編については↓の記事で書いてます。JTについても個別に分析しています。


2.実際に確認
やることは簡単です。株価の騰落率と配当利回りの比較です。
もちろん、コロナショックで市場が大幅に傷んでいるので「コロナショック前の水準」で考えたいと思います。
あとは、年度による偶然性を消すために過去5年分さかのぼって検証します。

そうしないとほとんどダメになるからね多分。
2-1.キャノン(電気機器)
上側が株価の推移で下側が年間の配当利回りになります。
配当は半期で約75円~80円位で推移しています。年間配当はだいたい160円位と見て問題ない水準です。
毎年の下落幅が160円以内に抑えられているとよいということですね。
2015年の株価は3600円~4400円位で、コロナショック前では3000円位の水準でした。
5年間で株価の下落幅は600円~1400円で、配当は5年分で800円配られているので概算値としては配当金よりも株安の方が大きいことになります。
より詳細に買い付けのタイミングから検証してみましょう。
2015年:3600円~4500円買付 | 配当800円、騰落幅-1500円~-600円→× |
2016年:2800円~3400円買付 | 配当640円、騰落幅-400円~+200円→〇 |
2017年:3200円~4400円買付 | 配当480円、騰落幅-1400円~-200円→× |
2018年:3000円~4400円買付 | 配当320円、騰落幅-1400円~0円→△ |
ということで2016年買付以外ではトータル収益がマイナスになる確率が高いことがわかると思います。
あまり良質なインカムゲインが期待できる銘柄ではないと思います。
2-2.みずほFG(金融)
続いてみずほFGです。チャートは同様に上が株価、下が配当利回りです。
これを見ると大体配当利回りが4%前後で推移していることがわかります。配当は毎年変わらず7.5円でした。
ということは毎年7.5円以上株価が下落していなければ良質なインカムゲインが期待できる株になります。
株価が最も高かったのが2015年の250円ですね。コロナショック前の株価が160円付近ですから250→160で90円程度株価が下落したことになります。
この間に配当を受け取ることができるのは2015年~2019年の5回ですから-37.5円が株価下落幅の下限になります。
さて、2015年→2019年では明らかに株安の方が大きいですね。
ではどのタイミングで買い付けていれば160円付近であっても良質なインカムゲインなのでしょうか?
2015年:200円~250円買付 | 配当37.5円、騰落幅-90円~-40円→× |
2016年:150円~225円買付 | 配当30円、騰落幅-65円~+10円→△ |
2017年:210円~180円買付 | 配当22.5円、騰落幅-50円~-20円→× |
2018年:215円~170円買付 | 配当15円、騰落幅-55円~-10円→× |
ということでよほどうまいタイミングで買い付けなければ得られるリターンの合計がマイナスになることがわかりました。
あまり良質なインカムゲインが期待できるわけではないと思います。
2-3.アーバネット(不動産)
続いてアーバネットです。チャートは同様に上が株価、下が配当利回りです。
チャートの左端が見切れていますが、2015年の最高値は390円、最安値は280円程度でした。コロナショック前は360円程度でした。
配当は2015年から2019年まで13円→16円→21円→16円→18円と推移しています。
トータルでは84円ということになります。つまり株価の下落が84円以内に収まっていれば良質なインカムゲインという判断ができます。
コロナショック前の株価は360円ですから、2015年では444円以下で買っていればトータルリターンがプラスになります。
2016年では431円以下、2017年では410円以下、2018年では394円、2019年では376円以下での買い付けでトータルリターンがプラスになります。
上のチャート上ではその価格は下回っているタイミングの方が多いです。
アーバネットは良質なインカムゲインが期待できると判断しても良いかもしれません。
3.まとめ
- キヤノン、みずほFGは良質な高配当株とは考えにくい
- アーバネットは良質な高配当株と考えてもいいかもしれない
という結果になりました。※アーバネットへの投資を勧めているわけではありません
高配当株は初心者向けの株式投資と言われますが、おそらくそれは誤りです。
この記事では計算に組み込んでいませんが、2015年以降の日経平均の伸びを考えると市場全体では株価上昇した銘柄の方が多いはずです。
しかし上記の高配当株は株価が下落しています。つまり、わざわざ高配当銘柄に投資する意義は薄いと思います。
「高配当でも株価がその分下がっていたら意味がない」というのはよく言われていたことですが、自分で検証したことによって確かめることができました。
高配当銘柄の中でも「業績が下がらない→株価が下がらない」という銘柄を探さなくてはならないということです。
単純に業績の安定した株を探すより手がかかるので初心者にはお勧めできないということがわかります。
4.良い高配当株と悪い高配当株
この記事の結論は「高配当株投資をするな!」ではありません。

え?そうなの?
はい。配当というのはもともと企業の利益から出るものですから、「沢山配当が出る=企業が利益を出している」というのは間違いではないのです。
しかし、中には企業戦略として「無理やり配当を増額している」企業があるわけです。つまり配当性向がかなり高い企業です。
こういった企業でなければ、すなわち適切に配当している企業であれば投資対象になり得るということです。
配当利回りだけを見るのではなく、複数の指標を必ず参考にしましょうということです。
次回の記事では視点をアメリカ株に移して「エクソンモービル」「ブリティッシュアメリカンタバコ」「SPYD」について同様の検証をしたいと思います。
ありがとうございました。
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