こんにちは。儲けた医です。
JTといえば日本が誇る高配当株筆頭です。配当利回りは驚異の6.7%で、ここ10年ほどは常に増配を続けてきた企業です。
その高配当&増配ぶりから所有する人は多く、配当銘柄としての人気はかなりのものです。さて、そのJTですが2月6日に決算では増配無し、となり連続増配記録がストップしました。
その失望ゆえか決算発表後は少し売られています。さて、高配当銘柄であるJT(権利最終日は6/26,12/25)ですが、「この機会に買ってみようかな?」という意見がTwitter上で散見されます。
今回はそんなJTを購入する前に一度見てもらいたいJTの分析となります。
※ちなみに私はJTを持っていないので利益関係はありません。
1.JTの企業情報
JTとはJapan Tabaccoの略称です。つまりタバコメーカーですね。国内外で販売するタバコ以外にも医薬品事業や加工食品などを手掛けている企業です。食品業界での時価総額は堂々1位であります。
JTについての投資情報を↓にまとめました。
市場 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り | 最低取得単価 | 優待利回り |
東証一部 | 4.6兆円 | 12倍 | 1.54倍 | 6.7%(年2回) | 23万円くらい | 1.1% |
この数字を見るとかなり優良な銘柄かなと思います。
PER12でありながらPBRが1.5倍あるので、人気ながら割安の水準にいると考えられます。配当利回り+優待利回りでだいたい8%程度あるのでbuy&holdするには絶好の株といえるでしょう。
ただ、私自身はそれほどこの銘柄に魅力を感じません。その理由は大きく分けて2つあります。1つはJT自身の問題、もう1つは競合他社の話です。

すごく優良な銘柄に見えるけど?
そうですね。解説していきます。
2.JT自身の問題点
JT自身の問題点、それは「タバコ」という製品に業績の大部分を依存している点です。製品別の利益でみると食品、医薬品が5%程度であり、利益のほとんどがタバコによるものだということがわかります。ここに1つ目の理由があります。
タバコは健康に悪いです。医療関係者としての立場から述べると「癌や各種疾患リスクが激増すること」「喫煙時には手術や特定の治療を受けられないこと」が挙げられます。強制退院の病院もあります。
喫煙による疾病で消費される医療費はかなりの額です(算出できませんが)。
行政では法人税、たばこ税をもらえて嬉しい財務省と、医療費を削減したい厚生労働省とでJTに対する態度が真っ二つになっています。
医療界の現状としては禁煙を強く推し進めており、この流れは今後も強まると思われます。
特に今若い人の喫煙者が減っています。↓の表は厚生労働省のHPから取ってきたものでJTの調査データです。
女性は横ばい傾向が強いのですが男性の喫煙率はかなり減ってきていることがわかります。
金銭的余裕がないこと、健康への懸念が挙げられますが周りで吸っている人が減ると吸わなくなるのが日本人です(笑)。今後も喫煙者は減り続けると思われます。
対応としてタバコの値上げを行っているようですが、買えなくなる人も出てくるでしょうから諸刃の剣的対応です。
加熱式たばこや電子タバコなら害は低いのでは?と言われていましたが電子タバコ関連肺炎や加熱式でも十分害があることが分かってきていますのでやはり厳しいと思われます。
このように今後の売り上げの予測がかなり悪いので、医薬品や食品、あるいはその他の製品の成長が無いと今後はかなり厳しいでしょう。
これがまず1つ目の問題点です。

たしかに煙草吸いたいとは思わないなぁ。
3.JTじゃなくてブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)で良くないですか?
続いて2つ目の理由ですがわざわざJTでなくても良い、という話です。
JTの魅力は「高配当」と「タバコは依存が強いので安定して売り上げが出る」という点です。タバコの売り上げは鈍る可能性が高いと述べましたが喫煙者がそう簡単にタバコを手放さないのも事実です。
この2つの魅力は別にJTだけが持つものではないという話です。
時価総額世界第1位(JTは4位)のタバコメーカー、フィリップ・モリス(PM)の企業情報を↓にまとめました。
市場 | NYSE |
時価総額 | 1360億ドル |
PER | 18.2 |
PBR | – |
配当利回り | 5.4% |
最低取得単価 | 90ドル位 |
続いて世界第2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)の企業情報を↓にまとめました。
市場 | NYSE |
時価総額 | 1020億ドル |
PER | 12.8倍 |
PBR | – |
配当利回り | 8.75% |
最低取得単価 | 45ドル位 |
※特段の問題ではないのですが、債務超過になるまで配当を出すのでPBRが出ません。説明すると長いのですが、特に問題はありません。PERが出ている通り、両社とも黒字です。
逆に債務超過になるまで配当出すのってすごいですよね。増配も続いています。
つまり、別にJTでなくても良いのでは?というのが私の意見です。
配当利回りだけならBTIに投資した方が良いと思います。成長余地が限定的なのはどこのタバコメーカーも同じなので最も配当利回りの良いBTIが一番いいのでは?と個人的には思っています。
ちなみに時価総額第3位のアルトリア(M0)は配当利回りが7.2%です。
ただ、タバコの未来は暗いので投資したくないという人もいるでしょう。私もその意見です。強いて言えばBTIの配当利回りだけはすごいなという感想です。

増配中の8.75%はたしかにすごいですね。
4.まとめ
- タバコは世界的に斜陽産業である
- 配当利回りだけならBTIが一番いい
- わざわざJTに投資する意味を見出せない
ということでした。高配当銘柄だからといって斜陽産業に投資するのが良いのかどうかは人それぞれで意見が分かれると思います。
ただ、現状のタバコ銘柄としてJTに投資するうまみは薄いのではないか?と思っています。
ありがとうございました。
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